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「日本語ができるようになれば、学力は『自然に』身につく」わけではない。

日本語教育についてあまり知らない人たちや、一部の日本語ボランティアの人の中には、日常生活の日本語ができるようになれば、あとは「自然に」学力が身につくと考えている人がいる。

 これはとんでもない間違いである。なぜなら、義務教育段階で学習する教科・科目、学習内容は国・地域によって異なるからである。

例えば、日本の小学校では、自分の国(日本)の地理、歴史を学習する。大人の人も小学校時代を思い出せば分かるように、小学校では日本の都道府県名や県庁所在地名を覚えさせられた。当然のことながら、外国の義務教育を受けた人たちは、日本の地理に関するこのようなことは習っていない。

 義務教育についてさらに考えてみると、義務教育段階での教育課程、教科・科目は国・地域によって異なる。例えば、私が千葉市日本語指導通級教室で教えた生徒(中学生)の中には、小学校段階で「理科」を全く学習していない生徒がいた。この生徒の国では、「理科」は中学校から学習を始めるのだそうである。

このような生徒が、日本の中学校に転校してきて、「理科」の内容を理解するには、相当な「基礎知識」が不足している。このような生徒が日本の中学校の理科を理解するためには、当然小学校段階の学習内容から始めなければならない。千葉市日本語指導通級教室時代には、本人の日本語習熟度を考えながら、何とか理解できそうな参考書等を探したものである。それでも、彼らは理科や社会の学習内容は容易に理解できないので、入試の教科に理科、社会がない私立高校を志望する生徒が多かった。

以上のことから、外国出身の生徒が日本の高校入試を突破するためには、基礎的な日本語学習、日常生活で使える程度の日本語を身につける日本語学習をできるだけ「早く」終わらせることが必要である。その後で、義務教育段階での、出身国の学習内容と日本の学習内容とを比較して、必要なところを学習していくことが求められる。

このことを、本人・保護者、何より在籍学校の先生方に理解して欲しい。そして「基礎的な日本語」、「日常生活に必要な日本語」の学習はできるだけ「早く」終わらせて、日本の学校の学習内容を理解するための日本語学習に「早く」移行しようという意識をもって欲しい。

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